あの場所は今(洞爺湖 有珠山西山火口)


北海道に移住して丸2年、3度目の春を迎えました。
そういえば、北海道に越してきた2000年の春は、洞爺湖畔の有珠山で噴火が あった事は記憶にも新しい所です。
あの自然災害からも丸2年、昨年近くを走った時には白煙がモウモウと立上って いましたが、今年GWの行楽地案内のニュースで”有珠山西山火口の散策路がオ ープンしました”との報道があり、一度見に行く事としました。

GW後半、天気は良好
今年のGWは天候的には非常に恵まれ、当日も晴天!
予報でも雨どころか曇る気配も無い。
今年最初のツーリングとあって、GW前半にはバイクをチェック。
生憎こいつも3年目を迎えるだけあって、バッテリーが弱っていた。
幸いキックがついているので、始動には問題ない。
それと、昨年パンクで泣かされた事もあったので、今年はパンク防止剤(スライムと いう緑のやつ)を入れておいた。
 
さてルート的には、R230をひた走るルート。 さすがにGWだけあって、定山渓の手前で大渋滞!
通常なら市街の外れから20分もあれば着く距離が、道路案内では50分となっている。
幸いコッチは渋滞知らずの為、普通より若干時間がかかったものの、定山渓温泉街 をパスした。
そこからは、多少いつもより車は多いものの非常に順調で、すんなりと中山峠に到着。 ここで、トイレ休憩とお茶を買う。
レストハウスからは、まだ雪を被った羊蹄山が綺麗に見える。
峠にも雪は若干残っていたが、例年よりも間違い無く少ない。
今日は非常に天気が良かったが、さすがに峠の上は空気も冷たい。、念のためオー バーパンツを穿いてきてよかった。
 
中山峠を下り、喜茂別、留寿都まで走る。
このルートは勝手知ったる道なので、軽快に走る。途中にあるルスツリゾートは、この GWから遊園地の営業を始め、この日も大勢の行楽客が来ていた。
今シーズンも駄目だったが、是非冬のスキーシーズンの行きたいものだ。
 
さて、普段ニセコに行く時なら道道66に入り真狩に向うが、今回はそのままただひた 走る。
バックミラーには今まであまり見た事の無い方角からの羊蹄山が見える。
留寿都から約30分少々で洞爺湖が見え始める。
今日は良い天気だったので、湖面が蒼く非常に美しい。

 
 
やっぱり牧場ならアイスでしょう!

途中地図で現在位置を確認する。
このままR230を走ると右手にレイク・ヒル・ファームという牧場の様な所がありそう。
ちょうど昼時なので、昼食がてら立ち寄る事にした。
ここは、ニセコで良く行く”ミルク工房”の様に、乳製品を中心とした軽食も出来る 場所の様です。
軽食の取れる喫茶室と、アイスクリームスタンドの2つがあり、まずは喫茶室に入り 昼食を摂る。
喫茶室の窓から緑色の芝生と羊蹄山が見える。
今日は天気も良いので行楽客も多く、芝生の上で子供達が遊びまわっている。
昼食も終わり、お約束のアイスクリームを食べようと外に出ると....
すごい行列....
まあ全員がアイスクリームを買うだけなんで、多少並んでいてもすぐに順番が来る だろうと思って並んだ。
しかし....少々考えが甘かった...
今日来ている客の大半は家族連れ、並んでいるのはその家族代表。
一人につき3〜6個くらい頼んでいる物だから、思ったよりも時間が掛かる。 約15分程並んでようやくありつけた。
早速芝生に座り込み、羊蹄山を眺めながら頂く事にする。
良い天気の日にこういう風景を見ながら食べるアイスはやっぱり美味しい!!
願わくばもう少し空いていてくれればと思う。
 
 
自然の畏怖を感じ
おなかを満たしたところで、今回の目的地に向う事にする。
洞爺湖温泉街に向い、まだ美しく咲いている桜並木を横目に湖畔道路を走ると、 ”有珠山西山火口散策路 ”の看板が見えてきた。
そのまま看板に従い、少々山を登っていくと駐車場があった。 結構な見物客が来ていて、駐車場はほぼ満車状態。
こっちは幸いバイクなので、配車整理のおじさんが休憩所の軒先の日陰に 誘導してくれました。
駐車料金100円を支払うと、早速散策路へ。
 
散策路と言っても、もともとは今まで走ってきたR230の延長に位置し、途中まで 普通の一般道の上を歩いていく訳ですが、駐車場を出て最初の風景を見て驚き ました。
地崩れを起こした道がそのまま陥没し雨水などが溜まり、電柱や標識は折れ曲 がりで、さながらパニック映画のセットの様になってます。
しかし、これは映画の様に架空の話しではなく、実際の被災地です。
その風景はまだまだ序の口で、散策路を登っていくと、途中道路が断層によって 引き裂かれ、道路脇の亀裂から、今も硫黄臭い蒸気が出ている所がたくさん有り ます。
 
10分くらい歩き、西山火口に到着した。(※横の写真をクリックすると、他の写真も載せてます。)
まだ、蒸気の噴煙を上げているが、想像よりも小さい印象であった。
しかし、この見た目小さな火口でも、あの大災害になるのだから、自然の猛威に 畏怖を感じます。
この散策路は洞爺湖温泉側だけでなく、虻田町側からも登れるようで、西山火口 から虻田町側を望むと、ちょうど内浦湾が目の前に広がり、災害地からの風景とは 思えない美しい風景が眼前に広がります。
しかしその風景の中には、噴石でぼろぼろに壊滅した街が入ってます。
多数の火山弾や地盤の隆起でデコボコになった風景は、もとあった街の姿を想像 させる余地すら与えてくれません。
私も神戸の震災に被災し、地割れ等は見てきましたが、全く規模が違います。
”大地のエネルギー”と言ってしまうのは簡単ですが、実際そのパワーの爪痕を見ると 人間の些末な知恵程度で、どうこう出来る物じゃないく、こうなったらもうただ逃げる しかないなぁと思いました。
 
硫黄臭い散策路を駐車場まで戻る。
道すがら色々な表情をした観光客とすれ違う
沈痛な面持ちの人、ただビックリしている人、子供に一生懸命説明しているお父さん、 ただの観光地の様に楽しんでいる若者...
ここは、つい2年余り前までは、普通の街だったはず。
それが一瞬の内に瓦礫と化してしまった。そんな惨状があった土地で、Vサインを して写真を撮っている人には少々呆れました。
 
しかし人間という物は強く出来ている物で、散策路の入口では被災者と思われる方々 が、露店を出し土産物や休憩所を営んでいます。
よく見れば先程の駐車場の整理をしている、おじさん達も地元の方々のようです。
神戸の復興も見てきた身としては、ここも是非頑張って欲しいと思います。
 
駐車場を出る時”頑張って下さい”と言うと、”ありがとう”と言ってくれました。
 
洞爺湖畔まで戻る道は酷い渋滞。まあこっちはバイクなんで問題ないですが...
 
洞爺湖畔に戻って、洞爺湖温泉街の脇を走る。
2年前の営業再開直後に行った時は、まだ多くの土産物屋は閉まっていましたが、今 では全部とは言えないものの、相当数の店が開いており、ホテルにも多くの観光バスが 泊まっていました。
ここらの様な”大型観光ホテル”は、個人的には好きじゃないですが、観光地が復興して 賑わっている様を見る分にはホッとします。
 
時間はもう3時を回った所。
昭和新山にも寄ろうかと思いましたが、GW中と言う事もあり結構混んでいると思ったので、 今回はそのまま家路に向う事に。
 
帰りは壮瞥町、美笛峠を越え、支笏湖経由で札幌まで帰りました。
道中、特に支笏湖から札幌市街までの間が大渋滞。
この時期だけは車よりバイクの方がイイと思った瞬間でした。 
 
日 程  :2002年 5月 5日
走行距離:約210km

BACK HOME

inserted by FC2 system